こんにちは。ナツコです。
ベトナムの首都ハノイは、1,000年の歴史を持つ古都です。
ハノイ市内には歴史ある古い寺院が数多く存在し、ベトナムの人々の心のよりどころとなっています。
ベトナムでは毎月旧暦の1日と15日は多くの人がお寺を訪れます。
普段は閉まっていてもこの日だけは開くお寺もあるので、ハノイのお寺巡りをするにはこの日が狙い目です。
この記事では、ハノイ観光におすすめ!お寺巡りをメインとした半日街歩きコースをご紹介します。
メインのお寺は「鎮武観」「神光寺」「グーサー亭」です。
さあ、ハノイ1,000年の歴史を感じるお寺巡りに出かけましょう。
鎮武観からスタート
タイ湖とチュックバック湖の間を走る「タインニエン通り(Đường Thanh Niên)」の端にあるのがスタート地点の鎮武観です。

【鎮武観】
鎮武観は中国からきた道教の寺院です。
李朝のリ・タイトーが古都ホアルーからタンロン(当時のハノイの呼び名)に都を遷した約1000年前に作られたお寺でとても歴史があります。
ここに祀られているのは「玄天上帝」といって、北方を守る道教の神様です。
タンロンに都を遷した時、城のまわり東西南北に都を守るためのお寺を建てたと言われており、鎮武観は北方を鎮める神様のお寺です。
【MAP】



お寺の前に4本の柱があり、よく見ると鳳凰や龍が描かれています。
動物をお寺の前に置くことで、邪悪な気が中に入ることを防ぐ目的があるようです。

お寺の角にある「下馬」の石碑は、ここで馬から降りてお参りしなさいという意味。
神様に敬意を払ってねということですね。

お寺の壁にプラ椅子があるのがなんともベトナムらしい味があって可愛い。

この茶色の筒は水タバコです。お寺の前で水タバコを吸っているおじちゃんがいました。

正面の門から入れます。
扉が竹を模した木造の格子でできていて素敵!
入場料:1万ドン(=約50円)

大きなマンゴーの木に囲まれて、とても穏やかで雄大なお寺が現れます。


両脇には象さんが座っています。
象はかつては王様の乗り物でした。ここで待っているのでしょうか。

お寺の中から見た門も立派です。
門の上には鐘があり、旧暦の大晦日深夜に鳴らしているそうです。
グーサー村で鋳造された銅鐘のようです。


門の左側に「地入」右側に「玄出」と書いてあります。
風水の世界では、地入から良い気が入ってきて、玄出から悪い気が出て行くと信じられています。
お寺をお参りするときは、神様に向かって右から入り、左から出るのが良い流れのようです。

門から入ってお寺の前にごつごつとした岩があります。
これは「ヌイノンボ」と呼ばれるもので、お寺に邪悪な毛が入らないように置かれています。
岩に所々隙間があるのは、隙間から良い気だけが通り抜けていけるようにするため!


ヌイノンボにはおじさんが座っていたり五重の塔があったり、岩と水という自然のスケール感を表す中にもユーモアがあって可愛いですね。


いよいよお寺へ入ります。正面にある彫刻もとても繊細に彫られています。

お寺の右側には龍の画があります。
鯉が滝登りをして龍になる様子を表現していて、とても縁起が良いとされています。
学業成就や出世を願う人がお祈りしていくようです。

左側には白い虎の画があります。
こちらは流産を防ぐ胎児の守り神として祀られているようです。
この虎もよく見るとイモトの眉毛みたいで可愛い。笑

扉にも文字や絵が沢山描かれていますが、このぶどうとネズミの絵はなぜか逆さ!

北という文字が書かれているのは、かつてのタンロン城の北を鎮める神様だったからですね。

鳳凰が亀さんに乗っています。
この亀さん、重いものを乗せるのが大好きな亀さん「ひーきちゃん」というそうです。


こちらがこの寺院のご本尊、玄天上帝の銅像です。
かつては木造だったものを4年の歳月をかけてグーサー村の職人が鋳造したものです。
とても迫力があります。

この地図はタンロンに都を遷都した当時の地図。
城壁の北側にタイ湖があり、この鎮武観はタイ湖の南の辺りに位置しています。
城の北方を守っていた、という意味がこの地図を見てよく分かりました。
チュックバック湖の周りを散策

鎮武観で沢山歴史や宗教を学んだあとは、グーサー村に向けて街歩き。
チュックバック湖に浮かぶHighlands Coffee。

炎天下のハノイ。あまりに暑くて犬も水浴びしなきゃやってられません。


この辺り、湖でとれるのかシーフードのお店がちらほらありました。

通りではヤカンや鍋を売り歩くおばちゃん。

鴨肉が食べられるお店です。
チャオロン市場

チュックバック湖の周りには、ハノイでも古い市場の一つであるチャオロン市場があります。
ハノイのローカル市場は珍しいものがあって面白い。
野菜からお肉、魚までいろいろな物が売っている市場を散策。
【MAP】

これはよくチェー(ベトナムのスイーツ)に入っている仙草のゼリー。

小さな魚の一種で「chạch」というそうです。ドジョウ??

こちらは見た通り、うなぎ!「Lươn」。

大きさ様々なタニシ「ốc」です。

こちらベトナムでは食用とされるカエルさん。「Ếch」

卵屋さん。

いろいろな種類のハーブ。

もちろん野菜も沢山あります。

こちらは手のひらサイズのメロンです。

通りすがら見つけたプラテーブルと風呂椅子。
老若男女問わずみんなこの椅子に座るのがベトナムらしい風景。


市場を抜けたところでもう一つ訪れたかったお寺がありましたが、ちょうどお昼休憩の時間でしまっていました。
【MAP】

そしてようやく、この小さな橋を渡ってグーサー村へ向かいます。


橋の横には火力発電所。そしてチュックバック湖から続く水路も趣があります。
グーサー村
さあ橋を渡ってグーサー村へ入りました。
グーサー村の名前の由来
チュックバック湖に浮かぶ小さな島が、かつてグーサー村と呼ばれていたところです。
名前のグーサーは「五社」という意味で、5つの村から鋳造の職人が集まり、ここで銅の鋳造を行っていたことからこの呼び名になったようです。

【MAP】

グーサー村は古い街並みが残っていてとても風情があります。

ベトナムは民家の格子扉がレトロでお洒落です。

お洒落な洋服屋さん。

こちらも可愛らしい観葉植物のお店。



サボテンや吊るすタイプの植物などなど、小さいお店ながら品揃えが素敵です。

混沌とした街並み。

ローカルフード店の隣のお家の壁が青色でとっても良い感じ。絵になる風景です。

のどかな風景。

風呂椅子が大活躍です。


こちらには、チュックバック湖の名前の由来が示してありました。
チュックバック湖の名前の由来
チュック=竹、バック=絹(帛)で、竹の絹(帛)が由来です。
昔は一つだったタイ湖に、漁師達が魚を捕る網を仕掛けるための堤防を築き、切り離されてできたのがチュックバック湖です。
かつてこの辺りに竹安村という村があり、その竹安村では罪人に絹を織らせるという罰があったそう。
彼らが作った絹がとても美しくて評判になり、竹安村の絹ということで「竹の絹」と呼ばれていたものがそのまま湖の名前になったそうです。
名前とその土地の歴史が繋がっていて面白いですね。
神光寺

こちらはグーサー村にある仏教寺院の「神光寺」です。

神々しい千手観音像があります。

そしてご本尊の阿弥陀仏像です。
こちらも、鎮武観のご本尊と同じく、グーサー村の職人によって銅を鋳造してつくられていて、立派な銅像でした。

門壁にも塔を彫ってあり、とても手が込んでいます。

門の横には誕生仏の絵。
釈迦は聖母の脇腹から誕生した仏様で、生まれた直後に7歩歩いて「天上天下唯我独尊」と言ったそうです。
こちらの絵、よく見ると7歩歩いたところが蓮の花になっていてベトナムらしいですね。
【MAP】
グーサー亭

最後に訪れたのはこちらの「グーサー亭」です。

「亭」というのは村の守護神を祀る神社と村の集会所の役割を果たしていたところで、こちらにはリー・クオックスー(李国師)という李朝時代のお坊さんが祀られています。
彼が中国から銅をベトナムに持ち込んだという伝説があり、鋳造の祖としてグーサー村の人々は自分たちの神として彼を祀ったようです。
ちなみに旧市街にあるLy Quoc Su通りは彼の名前からきているそうです!


お寺の正面にはこちらにも「ヌイノンボ」があります。
こちらはごつごつした岩ではなく、岩にハロン湾が描かれています。
なぜハロン湾?というと、ハロン湾そのものがヌイノンボだからです。
海に切立つ無数の岩は、邪悪な気を防ぐ自然の地形だったんですね。

「李国師=リー・クオックスー」と書かれています。
ベトナムには、道教の神様を祀っていたり、仏様を祀る仏教寺院があったり、実在の人物を神のように崇める亭があったり、いろんな宗教が混在していてとても面白いです。
【MAP】
まとめ
鎮武観からグーサー村へ続く半日街歩きコースとお寺の紹介でした。
ハノイの歴史や文化を知るお寺巡り、そして昔ながらのベトナムを感じる街歩きはハノイ観光におすすめです。
街歩きの後、グーサー村のランチは「フォークオンとフォーチエン」をぜひ味わってみてください。
お腹がすいたらローカルグルメで腹ごしらえを!
